日本語の固有名詞をタイ語化する時に気をつけること

タイ語には「お」にあたる発音が2種類、「う」にあたる発音が2種類あります。「か行」と「ぱ行」にあたる音には息を出すものと、出さないものがあります。また、「つ」「す」「づ」「ず」の違いはタイ人には聞き取れず、タイ語での表記方法に明確なルールはありません。他にも細かい問題や注意点があるのですが、この記事で伝えたいことはタイ語のルールではないので割愛します。

以上の理由から、日本語の固有名詞や人名をタイ語で表現する場合は複数のタイ語スペルが存在することになってしまいます。そして、タイ語における日本語固有名詞の正式なスペルは定義されていないことが多く、定義されていたとしても、その正式なスペルは、タイ人が一般的に使っているスペルとは違うという問題もあります。

このあたりは、ウェブサイトの内容にもよりますが、我々は「タイ語の検索数の多い」=「タイ人に認知されている」スペルを使うことをおすすめしています。

以下、実際に例をあげて説明してみます。

「福岡」のタイ語スペルの例

まず、英語で fukuoka と検索してみます。
すると検索結果及び、右側にタイ語のWikipediaが出てきます。
ここでのスペルは「ฟุกุโอะกะ」です。
分かりやすくするためにこのスペルを【1】とし、以後、赤色で囲うことにします。

すると、以下の様なメッセージが表示されます。
ここで新しい2つめのスペルが出てきたため、これを【2】とし、以降水色で囲います。

このメッセージは検索ワードにスペルミスがあるのではないかとGoogleが検知した際に、自動的にGoogleが正しいと思うスペルに変更し、その変更されたキーワードの検索結果が出る機能です。
一部日本語訳をすると以下のようになります。

次の検索結果を表示しています【2】ฟุกุโอกะ
元の検索キーワード【1】ฟุกุโอะกะ

つまり、タイ語Wikipediaで採用されているスペル、しかも検索結果の右側に表示したりするスペルは、検索ワードとしては不適当とGoogle自身が判断したということになります。なんだかダブルスタンダードのようです。

気を取り直して検索結果を見てみましょう。
検索結果の1位からして、【1】【2】でもないまた別のスペルが表れます。
このスペルを【3】ฟูกุโอะกะとして、以降はオレンジで囲います。

では、一体、「福岡」のタイ語での正しいスペルとはどれなのでしょうか。
特に定義はないのですが、正しいスペルに厳しいであろうJNTO(日本政府観光局)のサイトを見てみます。

なんと、JNTOでは「FUKUOKA」が採用されています。
これは【4】として、以降は紫で囲います。
念のために説明しておきますが、JNTOの英語ページではなくタイ語ページです。

タイトルタグにも「Fukuoka」が採用されており、Googleでの検索結果も以下の通りです。

JNTO内にタイ語のスペルは無いものかと探したところ、ページ下部の「福岡へのおすすめツアー例」の部分にタイ語表記がありました。
それが以下です。採用されているのは【1】です。

以上で、日本の公的機関の公式ウェブサイトにおいてもはっきりとタイ語スペルが規定されていない状況であるというのが理解していただけたと思います。
では、実際にタイ人はどのスペルを多く使っているのでしょうか。
これはGoogle Keyword Plannerを用いて検索数を確認してみます。

Google Keyword Plannerでは順番が入れ替わってしまい見にくいため、番号順にまとめたものが以下となります。

キーワード 月間検索数 補足
【1】ฟุกุโอะกะ 30 Wikipedia、JNTO(日本政府観光局)で採用されているスペル
【2】ฟุกุโอกะ 4,400 Googleにより自動に修正された後のスペル
【3】ฟูกุโอะกะ 検索結果1位、4位で採用されているスペル
【4】Fukuoka 3,600 アルファベット表記

ここで、少し説明しておかないといけないことがあります。まず、Google Keyword Plannerで表示されるタイ語の検索数の精度があまり高くないということです。特にデータがあるわけではありませんが、当社の経験上そう考えざるを得ない状況が何度もありました。また、検索数が「 – 」となっているのは、ツールでデータ取得ができないほど少ないということであり、ゼロということではありません。

検索数がほぼゼロとされている【3】をタイトルに含めたサイトが、【2】での検索結果の1位と4位にランクインしています。つまり、ある程度のスペル違いはGoogle自体が同じキーワードとして扱っているということにもなり、そこまで気にしなくてもいいとも取れます。

ただし、スペルによってはGoogleが別ワードとして捉えている場合もありますので、やはり、タイ人が日常的に使っているスペル、つまり検索数の多いスペルを採用することをおすすめします。

また、【4】Fukuokaという英語のスペルも結構な検索数がありますが、これは都市名によって非常に差があるため注意が必要です。他の都市名では英語の検索がほとんどない、またはタイ語の検索がほとんどない、というものもあります。
こちらに関してはまたの機会に説明できればと思います。

タイでのSEO対策、Google Ads(リスティング広告)のことなら当社にお任せください。 その他、タイのビジネスに関する様々な疑問についてもお問い合わせください

お問い合わせ

執筆者

Company Image

H1 コンテンツ制作チーム

「タイ語」「タイの文化」「タイのビジネス環境」と「製造業」「IT(IoT)」に特化した深い専門知識を有しています。ネイティブレベルでコミュニケーション可能なタイ語を元にタイ文化に精通したローカライズ、タイ市場に精通したマーケティング戦略を通じて、お客様のビジネス拡大をサポートします。 タイのビジネス環境に適した、IT技術をもってDX化推進をサポートします。