あるキーワードを日本語で表現する場合は一通りしか無くとも、タイ語にすると複数の言葉があるというケースがあります。その複数のタイ語の言葉のそれぞれがほぼ同じ意味を持つこともあれば、それぞれの言葉の意味が表す範囲が違うということもあります。それとは逆に、日本語では複数の言葉があるのに対して、1つしかタイ語が無いという場合があります。
また、タイ語の場合は正式な言葉よりも省略形が一般的に使われているケースや、逆に日本語の場合は省略形が一般的になっているようなケースがあります。他には同じ外来語を使用しているにも関わらず、その言葉の意味する範囲が違うようなケースもあります。
タイ語を知らない普通の日本人が、このようなタイ語と日本語の違いを完璧に理解して最適なキーワードを選ぶということは難しいことだと思います。ただし、こういったケースがあるということを理解しているだけでも、全く効果の無いキーワードを設定してしまうよう事態を避ける可能性を高められると思います。
ここでは、なるべく簡単に分かりやすいようにして様々なケースをまとめ、例外は注釈としてまとめてみました。
ひとつの日本語に対して、複数のタイ語があるケース
複数あるタイ語の意味の範囲が違うケース
日本語 | 運転する |
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タイ語 | ขับ(カップ)、ขี่(キー) |
日本語では車やバイクを操縦する際に使う言葉は「運転する」のひとつですが、タイ語では「カップ」と「キー」のふたつの単語が存在します。また、「カップ」と「キー」は同じ意味ではなく、車などの丸いハンドルを運転する際は「カップ」、バイクや自転車などのハンドルを使って運転する際は「キー」という使い分けがあります。
厳密には、文法的には間違っているものの車の運転に対して「キー」という人も居ますし、意味も通じます。ハンドルの形はバイクで3輪のタイならではのトゥクトゥクなどもあります(一般的には車という扱いで「カップ」を使います)が、あまり気にしなくていい例外です。
複数あるタイ語の意味はほぼ同じケース
日本語 | 遊びに行く |
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タイ語 | ไปเที่ยว(パイティアオ)、เที่ยว(ティアオ) |
「パイ」というタイ語は「行く」という意味を表し、「ティアオ」だけでも遊びに行く、観光するという意味を持ちますが、このふたつはどちらも一般的に使われます。後述の省略パターンと似ていますが、正式なひとつのタイ語を省略したものではありません。
複数の日本語に対して、ひとつのタイ語しかないケース
日本語 | 食べる、飲む |
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タイ語 | กิน(キン) |
日本語では「食べる」と「飲む」は明確に使い分けられますが、タイ語の食べるという意味である「キン」は食事にも液体にも薬にも使えます。(注1)
ひとつの日本語に対して、正式なタイ語と省略形のタイ語があるケース
日本語 | 車 |
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タイ語 | รถยนต์(ロットヨン)、รถ(ロット) |
「車」というキーワードは日本語では「車」のみですが、タイ語にした場合「รถยนต์(ロットヨン)」が正式な言葉ですが、ほとんどの場合「 รถ(ロット)」という短縮形が使われます。
日本語は正式な言葉と省略形があるが、タイ語には省略形が無いケース
日本語 | デジタルカメラ、デジカメ |
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タイ語 | กล้องดิดิตอล(グロンデジトン) |
タイ語は日本語に負けず劣らずありとあらゆる単語を省略する傾向のある言語です。しかし、日本では「デジタルカメラ」が「デジカメ」と呼ばれるのに対して、タイ語には省略形はありません。
日本語とタイ語で同じ外来語を使っているのだが、その意味の範囲が違うケース
日本語 | アパート |
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タイ語 | อพาร์ทเมนท์(アパートメント) |
日本語で「アパート」というと、豪華ではない共同住宅の意味を持つことが多いが、タイでは「アパート」というと分譲していない、賃貸のみの集合住宅のことを意味します。どれだけ豪華であろうとも、部屋ごとに購入することができないものは「アパート」と呼びます。ちなみに、日本語で「マンション」にあたるものはタイでは「คอนโด(コンド)」と呼ばれますが、これは分譲されていて、各部屋のオーナーが違う、部屋ごとに購入することができる共同住宅のことを言います。(注3)
日本語とタイ語で違う外来語を使っているケース
日本語 | チャイルドシート |
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タイ語 | คาร์ซีท(カーシート) |
タイでは「チャイルドシート」のことを「カーシート」と呼びます。
日本語もタイ語も、ある特定の企業の商標が製品名の代用として使われているがその商標名が違うケース
日本語 | バンドエイド |
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タイ語 | พลาสเตอร์(プラスター) |
日本では地域にもよりますが、絆創膏を表す言葉としてジョンソン&ジョンソン社の商標である「バンドエイド」が使われることが多いですが、タイでは3M社の「プラスター」がよく使われます。(注4)
注1:厳密には「ดื่ม(ドゥーム)」という「飲む」という意味のみをもつタイ語も存在しますが、液体に「キン」が使えるということに変わりはありませんし、口語ではほぼ「キン」が使われます。
注2:厳密には、日本語にも「車」とほぼ同じ意味の「車両」という日本語がありますが、タイ語においても車両にあたる別の意味の単語があります。
注3:「คอนโด(コンド)」の正式なタイ語は「คอนโดมิเนียม(コンドミニアム)」ですが、一般的には省略形の「コンド」がよく使われます。
注4:「พลาสเตอร์(プラスター)」の後に、薬を意味するタイ語「ยา(ヤー)」をつけて、「พลาสเตอร์ยา(プラスターヤー)」と呼ばれることも多いです。